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日替わりコメント写真集

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「じゅぽんのつぶやき」『六話』

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第六話

前回までのあらすじ

「じゅぽん」という、小狸がつぶやく、一家と「樹囁庵」の物語。

「じゅぽん」は、親父が聞かせてくれた「じっちゃん」の若き日の活躍を、床に入って思い出していた。奇しくも同じ時刻、 じっちゃんは、一人残った、「クリノキサコ」で、自分の若い頃の同じ思い出を回想していた。

後に皆から「明神騒動」といわれる、狐一族との争いである。

第六話

 ボクは、じっちゃんの若い頃の勇ましい姿を思い浮かべて、「明神騒動」を眠れないまま、ずーと思い出していました。
勿論、親父から聞いた話ですから、多少、割り引いてのことですよ。あの時、この話をしてくれた親父は、酒の所為だけでなく、異常に興奮してましたよ。

色々と持ち寄った材料に手を加えながら、じっちゃん(サブロウ)は、皆に「向こうには、明神の「ゴン」という、頭のいい、キレ者がいてのー、ちょっくら細工しちゃらんと、勝てんぞ」とつぶやいたそうです。
出来上がった材料は、ページの上にあるような、他愛も無いもののようでした。

「サブロウ」こと、じっちゃんは、「明神」の狐の「ゴン」に宛てた一通の手紙を若い者に託しました。
 「迷惑を掛けて、こちらが悪かった。御主たちの言うと通りにするから、五日後の満月の夜、鎮守の森に来て貰いたい」と言う内容でした。早速、若者は、「ゴン」に手渡して帰って来ました。
「よーし、じゃ、もう一つ明日は、皆で手分けして、「たらの木」を出来るだけ多く、とってきてくれや」と皆に言いつけたそうです。
 ボクには、始めそれをどんなに使うのか、全然分かりませんでした。
翌日の晩、皆が持ち寄った「たらの木」は、予想以上に集まったようで、それを30センチほどの長さに切って、揃えたそうです。たらの木は、刺が沢山幹に付いているので、みんなも、手に傷が沢山できたようです。
それが、百本も出来たと聞いています。
 
外には、十三夜の月が煌煌と照っていたそうです。「桂」の上、中、下、南の組の者たちと「明神」の代表たちは、今もって、自分たちが作った道具を何にどのように使うのか、さっぱり見当も付かず、「まるで、狐か狸に化かされておるようじゃ」と、自分が狸であるのを、忘れているようなことを言いながら、その夜は、別れて行ったのでした。
 翌晩、遅く組の頭だけを巣穴に招き入れて、「サブ」は、作戦を説明したそうです。
「いよいよ明日じゃ、上手く行くかどうかは、賭けのようなものじゃ、でも向こうに「ゴン」が居る限り、作戦は当たるとみる」そんな前置きで、「サブ」は、地面に、棒の先で、鎮守の森とその周辺の地図を書き始めた。

で、この続きは、第七話でつぶやくことにいたします。





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